Case Study

国際イベントでの言語支援 — 職人技 × 文化 × 対話

国際イベントでの言語支援 — 職人技 × 文化 × 対話

初めに

言葉の壁を超えて、技と哲学を伝える

言葉の壁を超えて、技と哲学を伝える

日本から招聘された三人のラーメン職人が、ベルギー・シャルルロワの Kāmen Kitchen にて技を披露し指導を行う特別な機会。レストラン側と代理店が求めていたのは、単なる「作り方」の記録ではなく「一杯の器に宿る精神や哲学」を世界に伝えることでした。私たちはその挑戦に、文化と言葉の架け橋として参画。現場での通訳や会話のファシリテーションを通じて職人たちの想いを精確に伝え、さらに映像素材を日本語・フランス語双方の視聴者に響くコンテンツへと磨き上げました。職人の息づかい、文化の深み、そして対話の力を、言語の枠を越えて届ける、それが私たちの役割です。

クライアント

Kāmen Kitchen(ベルギーのマーケティング代理店を通じて発注)

業界

飲食(日本料理/専門店)

年度

2024年

サービス

現場通訳・ファシリテーション、インタビュー演出、字幕作成

プロジェクトについて

背景 - 教え、技術、証言

昨年9月、映画を学びながら接客業で働いていたアイオは、ベルギー・シャルルロワのKāmen Kitchenで行われた撮影に参加しました。日本から招聘された、国際的に研鑽を積んだ三名のラーメン職人が技を披露し指導を行い、その後に職人たちへのインタビュー撮影が行われています。インタビューでは、職人としての技術や規律、そしてなぜ人生をラーメンに捧げるのかといった根源的な動機が語られました。

撮影は地元のマーケティング代理店が制作を担当し、同社の代表が監修、代理店の知人が撮影と編集を請け負っています。


私たちの役割 - 単なる翻訳以上の貢献

私たちの仕事は単純な言語変換に留まりませんでした。カメラの外で適切な問いを投げかけることで、職人たちの顔の表情や声のトーンを引き出し、技術の背後にある物語―小さな儀式、失敗からの学び、メニューには表れない静かな覚悟―を掘り起こしたのです。

アイオは会話中にリアルタイムで通訳を行い、その後に編集担当へフランス語の字幕ファイルを納品しました。最終編集自体は編集チームの作業でしたが、現場での演出的な指示と字幕制作のサポートが、最終的な語り口を形作るうえで重要な役割を果たしています。

結びに

成果と影響 - 敬意、到達、そして得た教訓


  • 編集されたインタビュー(公開対象は主にメイン職人のパート)は、それぞれおよそ2,500回の再生数を記録し、職人文化を扱うニッチなコンテンツへの確かな関心が示されました。


  • その映像素材はKāmen Kitchenのプロモーションに資する一方で、生きた技術の証言としてドキュメンタリー的価値も持っています。


  • 学びとして明らかになったのは、言語と文化の流暢さが細部のニュアンスを解き、同じ発言でも適切に翻訳・文脈化されることで、感情的にも商業的にも異なる市場で深く響く、という点です。